講評



A:…というわけで、始めようか。まずは、コウイチ・ヤング選手の演技。タイトルは「まけてやったぞ」
 
B:たしか、去年のジャパンカップ優勝者だっけ。
 
A:そうだね、そして晴れてワールドカップ初出場となったわけだけど。
 
B:…うーん。
 
A:あれ、どうしたの。おれは結構好きだけど。
 
B:えー、これって要は佇みメカニカルでしょ。特に新しさは感じないなあ。
 
A:いやまあ… そうなんだけど。でもTargetに自販機を選択したところは評価できるよ。
 佇みメカニカルのTargetって、意味をなさない機械ばっかりだったでしょ。ただの鉄の塊とか。
 
B:いや、身近にある機械を選んでいる時点で、安易に走ったなという印象
 
A:ぼくはそこを評価しているんだけどな。つまり、こういうことだよ。
 「佇みメカニカル」そのものが既に特別ではなく、安易なありふれたものだと。で、よく見て。自販機の側面に
 何かを破壊している人物のイラストが描かれているでしょ。
 
B:あるね
 
A:つまり、「佇みメカニカル」という現象、それを破壊するってテーマだとぼくは読めたんだけどな。
 
B:なるほど。「メカニカル以前、以降」なんて言い方がされるくらい、「佇みメカニカル」は衝撃を与えたし、現時点まで
 それに依存しているからね。
 
Aそういうこと。「佇みメカニカル」へのカウンターとしての演技かな。
 
B:その観点で見ると、「80円」って看板もなかなか味があるね。
 
A:そうだねー(笑)
 
 



A:次はrannn選手。なんとトリプル・エリミネーションでの出場です。
 
B:珍しいね。この選手はいつもシングルなのに。
 
A:その辺の事情は今月の「たたマガ」に記事が載っているね。詳細はそちらを参照ということで(笑)
 
B:商売上手だなあ。さすが編集者。ところで、君はこれをどう見る?
 
A:「非暴力・不服従」と「目立たない」はやはり「佇みメカニカル」の文脈だね。でもコウイチ・ヤング選手と同様に
 意味を成す機械をTargetにしている。これはおもしろい現象だよ。
 さらに、「非暴力・非服従」、これも破壊をテーマにしているよね。そしてこのタイトル。rannn選手は「佇みメカニカル」
 を否定はしないが、それに服従するつもりは無いという強い意思を感じるね。
 「目立たない」はどうかなあ・・・ これは賛否両論だったけど、ぼくはあまり評価できない。
 Targetを変えた「佇みメカニカル」という印象しかないなぁ。
 
B:「熟練」は?この演技はかなり古典だよね。でも好きだなー。評価できる。
 
A:おや、めずらしい(笑)。こういうのは嫌いだと思ってた。
 
B:いやいや(笑)。この姿勢といい、影の伸び方。どれをとっても一級品だよ。こういう演技を評価していかないと。

 

A:最後はすずきすずかず選手。
 
B:あれ、出場してたの?ジャパンカップでも初戦敗退でしょ?
 
A:まあ… コネ?(笑)
 
B:ひどいなあ。こういうことするから、佇みの権威が落ちるんだよ。
 
A:で、演技のほうは、いつもの「佇みマン」と…
 
B:正直、食傷気味だよね。そりゃあ、最初こそは斬新だったけどさ。
 
A:さすがに飽きるよね。で、結果も皆さんご存知の通り… と(笑)
 
B:彼については、このくらいでいいかな(笑)